大人の男の「夏着物」入門
浴衣の一歩先へ。透け感を楽しむ「薄物」が、夏の街歩きを格上げします。
「絽(ろ)」と「紗(しゃ)」
夏着物の代表格。隙間を作って織られた生地は通気性抜群。うっすらと襦袢が透ける様は、見る人にも涼しさを与える「粋」の極みです。
最高級の涼「小千谷縮」
麻100%の「縮(ちぢみ)」は、生地表面のシボ(凹凸)が肌への張り付きを防ぎます。自宅で洗える手軽さと、圧倒的な高級感が魅力です。
「足袋」で格を上げる
浴衣は素足に下駄ですが、夏着物は「襦袢」を着て「足袋」を履くのが基本。このひと手間で、ホテルや高級レストランでも通用する装いになります。
凛とした立ち姿。「長着(ながぎ)」を纏う
夏着物は、下に着ている襦袢の衿(えり)を少し見せるのがルール。
着物と襦袢の衿が平行に重なるよう意識すると、首元がスッキリと美しく見えます。
着方は浴衣の下に襦袢があるかどうかだけ。
羽織って衿(えり)を合わせる
仕立てた浴衣であれば、羽織った浴衣の左右の衿先を持って、背中の中心がずれないように合わせます。
既製品であれば、羽織った状態で、左手に持った浴衣の裾を右腰に合わせ、身頃の調整をします。
「右前」に合わせる(超重要)
調整した身頃がずれない様に左右を軽く引っ張りながら自分から見て「右」側の布を先に体に巻き、その上に「左」側の布を重ねます。逆(左前)は弔事(お葬式)の着方になってしまうので、必ず「右手が懐に入る」状態を確認してください。
腰紐(こしひも)で固定する
腰骨のすぐ上あたりで腰紐を締めます。お腹を少しへこませた状態で強めに締めると、動いても着崩れしにくくなります。紐の余りは内側に挟み込んでスッキリさせましょう。
シワを伸ばし整える
背中のシワを両脇に寄せるようにして伸ばします。胸元が開きすぎないよう整えたら、ベースの完成です。この上から帯を締めれば、立ち姿の美しい浴衣スタイルの完成です。
夏着物を着こなす極意
- 裾は長めに:浴衣より少し長め、くるぶしが隠れる程度が着物らしい落ち着きを生みます。
- 衣紋(えもん)は抜かない:女性と違い、男性は後ろ衿を首にぴたっとつけるのが正しい着方です。
夏の着物は「素材」で遊ぶ
浴衣を卒業し、次に纏うべきは「薄物(うすもの)」と呼ばれる夏着物。風を孕む「麻」の機能美と、光を透過する「紗」の艶やかさ。これらは単なる衣装ではなく、日本の猛暑を涼しい顔でやり過ごすための先人の知恵であり、最強の冷却装置です。
透け感の美学「紗(しゃ)」
搦み織り(からみおり)という技法で隙間を作った生地。「絽(ろ)」と並ぶ夏着物の代表格です。風が抜ける物理的な涼しさと、長襦袢が透けて見える視覚的な色気は、この素材だけの特権です。
天然の放熱素材「麻(あさ)」
吸水性と速乾性は綿の数倍。中でも「小千谷縮」などは、独特のシボ(凹凸)が肌への張り付きを防ぎます。自宅で洗えるメンテナンス性の高さも、実用重視の男には嬉しいポイント。
浴衣と分かつ「襟(えり)」
夏着物の定義は、下に「襦袢」を着ること。透ける着物の下から覗く白い半襟は、顔周りを凛と引き締め、Tシャツや浴衣には出せない圧倒的な清潔感と品格を演出します。
着姿の7割は「襦袢(じゅばん)」で決まる
暑い夏こそ、肌着である襦袢が重要です。最近ではTシャツタイプも人気ですが、
衿元をピシッと立たせるには「半襦袢(はんじゅばん)」に衿芯を通すのが最も美しい仕上がりになります。
今回は、本来の襦袢で説明します。
背縫いを真ん中に
背縫いが真ん中に来るように、衿を左右均等に合わせます。
肩を合わせ、ゆったり羽織る
自分から見て右から身体に巻いていき、巻き終わりに裾の先を少し上げた状態を維持したまま左を巻いていきます。
衿を合わせる
衿を合わせます。男性は女性の様に衿を抜かず、首の後ろに吸い付くように合わせるのがコツ。
背中のシワを脇へ逃がす
右腰を抑えながら、腰ひもを結びます。結ぶ位置は体の中心を避けたほうが楽に着られます。着ている時に出来たシワは身体の横に逃がします。
夏を乗り切る襦袢の知恵
- ステテコは必須:裾除けの代わりにステテコを履きましょう。足の間の汗を吸い、歩きやすさが劇的に変わります。
- 半衿は「麻」や「絽」を:襦袢の衿(半衿)も夏仕様の透ける素材にすると、見た目の涼しさが倍増します。






